LEGAREA

HOME/WORKS/実績

資金管理システム

CM SYSTEM

Cash Managementは、SES事業を行う当社が、自社の資金管理の課題をもとに開発したシステムです。

要員と案件の登録を起点に、単価と支払サイトから入金の予定を組み立て、給与・社会保険・BP支払・固定費・税金といった支払いの予定を同じ時間軸に並べます。そこから日々の残高を積み上げ、2〜3ヶ月先に会社にいくら残るかを見通せるようにしています。

給与明細を取り込めば、見込みの数字は実際の振込額に置き換わり、翌月には自動で補正されます。

2026年5月から当社で利用を開始し、他社のSES企業にも導入されています。

Summary

当社は長く、資金の見通しをExcelで管理していました。契約書に記載された金額を入力し、月ごとの入金を積み上げる。一見、それで足りるはずでした。しかし実際の請求額は、契約書の金額どおりにはなりません。超過があり、控除があり、月の途中での入場や退場がある。社員数が増えるほど、その一つひとつを追いきれなくなりました。

ずれに気づくのは、いつも月末に実際の入金額を見たときでした。その時点では、その月の支払いはもう目前に迫っています。慌てて資金を手当てしたこともあれば、手元にいくら残るか読めないために、採用や投資の判断を見送ったこともありました。

原因を突き詰めると、資金繰り表そのものを直しても解決しないことが分かりました。資金の見通しは結果であって、その手前にある案件の管理が実態を反映していなければ、何度作り直しても同じずれが起きます。そこで、要員と案件の登録を起点に据え、そこから入金と支払いの予定を自動で組み立てる形に切り替えました。

現在は、2〜3ヶ月先の残高を日次で確認できる状態になっています。資金が細る月を、事が起きる前に把握できます。判断を止めるのではなく、根拠を持って動かせるようになりました。

課題

契約書の金額は、実際に請求される金額ではない

SESの資金管理は、一見すると単純に見えます。誰がどの現場で稼働し、いくらで契約しているか。それが分かっていれば、来月いくら入ってくるかは計算できるはずです。当社も長くそう考え、契約書に記載された金額をExcelに入力して管理していました。

ところが、実際に入金される金額は、その数字とは一致しません。

稼働時間が契約の範囲を超えれば超過分が加算され、下回れば控除されます。月の途中から現場に入ることもあれば、途中で退場することもあります。その場合は日割りで締めることになります。SESの請求額は、月ごとに変動するのが前提なのです。契約書の金額をそのまま置いた表は、最初から実態とずれています。

社員数が少ないうちは、この差を頭の中で補正できます。しかし人数が増えれば、一人ひとりの変動を追いきれなくなります。当社でも、社員数の増加とともに、表と実態の距離が開いていきました。

そして、ずれに気づくのは、いつも月末に実際の入金額を見たときでした。

これが最も深刻な点です。月末に分かった時点では、その月の支払いはすでに目前に迫っています。給与の支払いは待ってくれません。慌てて資金を手当てしたこともありました。それ以上に響いたのは、手元にいくら残るか読めないことで、採用や投資の判断を見送ったことです。見通しが立たなければ、経営判断は安全な側に倒れます。その積み重ねが、会社の成長を止めていた可能性があります。

会計ソフトも、税理士も、この問題には届きませんでした。どちらも過去の数字を正確に整理してくれますが、それは起きたことの確認です。必要だったのは、起きる前に分かることでした。

自社開発という判断

案件の管理こそが、資金の見通しの起点だった

当初、当社が直そうとしていたのは資金繰り表そのものでした。入力の方法を見直し、項目を増やし、確認の頻度を上げる。しかし何度作り直しても、同じずれが起こります。

原因は、資金の見通しが結果でしかないことにありました。手元にいくら残るかという数字は、現場で人が動いた事実の積み重ねから生まれます。その手前にある案件の管理が実態を反映していなければ、表をいくら精密にしても意味がありません。当時の当社には、案件を管理すればよいという発想そのものがありませんでした。

必要だったのは、資金繰り表を作る作業をやめることでした。

誰が、どの会社の、どの案件に、いつから、いくらで入るのか。この登録は、資金管理のために行うものではありません。事業を回すために、どの会社でも必ず行っていることです。その登録の裏側で、単価と支払サイトを取り続ける。そうすれば、人が動くたびに資金の見通しも自動で動きます。表を作り直す作業そのものが不要になり、作り忘れによるずれも起こりません。

もうひとつ、設計で決めたことがあります。見込みの数字を、そのまま置き続けないことです。給与明細を取り込めば、見込みは実際の振込額に置き換わります。予測は必ず外れるものですが、過ぎた月から順に実額へ直っていけば、外れ幅は毎月縮んでいきます。

汎用の会計ソフトでは、この形は作れませんでした。待機、即日退場、退職日に応じた社会保険の停止、日割りでの締め。いずれもSESに固有の事象であり、一般的なソフトには存在しない概念です。汎用のソフトで補おうとすれば、その部分は手作業になります。手作業で入れた数字は、入れ忘れた瞬間に予測を壊します。だからこそ、自分たちで作る必要がありました。

開発プロセス

LAFにより、2名体制・約4ヶ月で完成

開発はLAFを用いて進めました。LAF(LEGAREA AI Framework)は、AIを使って設計から実装までを進める当社独自の開発フレームワークです。期間は約4ヶ月でした。

設計で最も時間をかけたのは、予測と実績をどう共存させるかという点です。

契約上の金額は、毎月変わらない前提の数字です。一方、実際に請求する金額は、超過・控除・日割りを反映した、その月だけの数字です。この2つは性質がまったく異なります。にもかかわらず、同じ場所に置いてしまうと、実績で上書きした瞬間に、翌月以降の予測の土台そのものが失われます。目の前の1ヶ月を正しくするために、その先の見通しを壊してしまうのです。

そこで、契約上の金額と実績の金額を別々に保持し、月ごとにどちらを使うかを自動で切り替える構造にしました。実績が確定した月は実績を、まだ到来していない月は契約上の金額を使います。時間が進むにつれて、予測は後ろから順に実績へ置き換わっていきます。予測の精度を上げるのではなく、実績が入るたびに予測との差が自然に埋まる形です。

もうひとつ時間をかけたのが、数年先までのシミュレーションです。2〜3ヶ月先の残高が見えるだけでは、目先の資金繰りしか判断できません。人員計画や投資の判断には、より長い時間軸が要ります。案件の管理が正確であれば、そこから先の見通しも組み立てられます。現在の稼働と契約の条件を前提に、数年後までキャッシュがどう推移するかを確認できるようにしました。

運用を始めてから分かったこともあります。入力の頻度です。

当初は、週に一度まとめて入力すれば足りるだろうと考えていました。しかし実際には、週の途中で現場の状況は動きます。即日退場、稼働の変更、参画の前倒し。週に一度の入力では、その時点ですでに実態とずれた数字を見ていることになります。社員数が増えるほど、このずれは大きくなります。

結果として、エンジニアの参画状況を毎日確認する運用に変えました。手間は増えますが、数字の正確さはこの運用によってしか担保できません。

そして、この運用には副次的な効果がありました。毎日エンジニアの状況を確認することで、現場で何が起きているかが早く分かるようになったのです。稼働が不安定な兆候、契約の終了が近い案件。資金の予測のために始めた確認が、エンジニアの管理そのものに対する助言につながるようになりました。

プロジェクトの成果

何にいくら投じられるかが、毎日頭の中にある

いま、2〜3ヶ月先の残高を日次で確認できる状態になっています。資金が細る月があれば、その月が来る前に分かります。交渉、採用、支払いの調整。打てる手は、時間が残っているうちにしか打てません。月末に気づくことは、なくなりました。

ただ、当社にとって最も大きかったのは、数字が見えたこと自体ではありません。

以前は、何かを決めるたびに手元の資金を確認していました。確認しても確からしさが持てないため、結局は安全な側に倒す。その繰り返しでした。いまは、何にいくら投じられるかが毎日頭の中にあります。判断のたびに調べるのではなく、判断の前提として常に持っている状態です。

数年先までのシミュレーションによって、人員計画や投資についても、根拠を持って考えられるようになりました。目先の資金繰りと、数年先の事業の形を、同じ画面で行き来できます。

副次的な効果もありました。数字の正確さを保つためにエンジニアの参画状況を毎日確認するようになり、現場で起きていることが早く分かるようになったことです。資金の予測のために始めた確認が、エンジニアの管理そのものを改善する材料になっています。

当社では2026年5月からCash Managementの利用を開始し、現在は他社のSES企業にも導入されています。

Cash Managementは、売上は立っているのに来月いくら残るかが言えない、という状態を変えるために作ったシステムです。同じ課題を抱える企業様に、引き続きお届けしてまいります。

Contact

ご相談・ご依頼をお待ちしています。

ご用件の内容は問わずお受けしています。
内容を確認のうえ、担当者からご返信します。