LEGAREA

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部門別採算システム

PL SYSTEM

今回は、東京・台東区に本社を置くソフトウェア開発企業からご依頼いただいた、予実管理システムの開発事例をご紹介します。

同社は2017年の設立以降、ソフトウェア開発とSaaS事業を通じて成長を続け、現在は240名の社員を擁しています。近年は事業の拡大が加速し、それに伴って組織も急速に大きくなっていました。

開発したのは、事業部やチームごとの採算を管理するシステムです。メンバー1人ひとりの売上と人件費、社会保険料、部門ごとの経費を積み上げ、部門単位の損益を算出します。あわせて、営業利益から経常利益、純利益に至るまでの会社全体の流れも同じ場所で確認できます。経費は現場が申請し、承認を経て採算に反映されるため、経理が仕訳を終えるのを待つ必要がありません。

開発はLAF(LEGAREA AI Framework)を用いて、2名体制・約4ヶ月で完了しました。

Summary

クライアントの課題

既存のツールでは実現したいことに届かず、新たにシステムを開発する必要があると判断されていました。背景にあったのは、事業の急拡大です。組織が短期間で大きくなる中で、誰が何をしてきたのかが記憶に頼る状態になっていました。この状態は、会社にとっても従業員にとっても不利益です。評価する側は根拠を示せず、評価される側は自分の貢献を残せません。将来的には、社員の評価制度の管理にも使えるものにしたいというご意向がありました。

当社の提案とソリューション

部門ごとの採算を出すだけでなく、会社全体の損益まで同じ場所で確認できる設計をご提案しました。数字はメンバー1人ひとりの売上から積み上げ、経費は現場の申請と承認を経て反映される形とし、経理の締めを待たずに当月の状態が分かるようにしています。あわせて、誰がどの案件に誰を関わらせたのかを月ごとに記録する仕組みを設けました。採算の計算そのものには使いませんが、記憶に頼らず貢献を残すための機能です。

プロジェクトの成果

事業部やチームごとの損益と、会社全体のお金の流れを、同じ画面で確認できる状態になりました。設計にあたって最も重視したのは、数字が信じられ続けることです。将来的に評価へ用いる前提がある以上、先月見た数字と今月見た数字が食い違えば、その時点で誰も見なくなります。過去の月の数字が後から動かない構造を、設計の土台に置いています。

クライアントの課題

誰が何をしてきたのかが、記憶に頼っていた

数字をどこまで共有するかは、会社によって大きく分かれます。経営層だけが把握している会社もあれば、現場まで開いている会社もある。そしてこの差は、組織の動き方に表れます。

数字が共有されていない組織では、経営が利益やコストについて何を言っても、現場には理由が伝わりません。経費を締めてほしい、効率を上げてほしい。数字が見えていない状態でそれを聞けば、単なる無茶振りにしか聞こえません。逆に、どこで削れていて、どこに投資したいのかが見えていれば、同じ言葉の受け取り方が変わります。

同社の場合、問題はそれだけではありませんでした。数字が共有されていないことに加えて、記録そのものが残っていなかったのです。

誰がどの案件に関わり、どういう成果を出してきたのか。それを知っているのは、その場にいた人だけでした。社員数が少なければ、それでも回ります。上長が全員の働きを見ていられるからです。

しかし同社は、事業の急拡大の只中にありました。組織が短期間で大きくなると、覚えるべき量が増え、同時に覚えている人の数が相対的に減ります。新しく着任したマネージャーは、部下が過去に何をしてきたかを知りません。異動や退職があれば、その人が持っていた記憶ごと失われます。

この状態は、会社にとっても従業員にとっても不利益です。

評価する側は、根拠を示せません。印象で判断せざるを得ず、判断した理由を説明することもできません。評価される側は、自分が何をしてきたかを残す手段を持ちません。成果を出していても、それを見ていた人がいなければ、なかったことと変わりません。

同社は既存のツールでの解決も検討されていました。しかし、実現したいことには届かなかったといいます。新たにシステムを開発するという判断に至ったのは、こうした背景からでした。急激な事業拡大の中で、この整備は急務になっていました。

当社の提案とソリューション

部門の数字だけでなく、会社全体の流れまで見せる

部門ごとの採算を出す仕組みは、珍しいものではありません。クラウド会計ソフトの部門機能でも、部門別の試算表は出せます。経営管理の専用サービスも数多くあります。

それでも同社の課題が解決しなかったのは、既存のツールが経理を起点にしているためです。仕訳が入力されて初めて部門の数字が出るため、月次の締めが終わるまで待つことになります。さらに、これらのツールの権限機能は、各部門に自部門だけを見せ、他は見せないという考え方で作られています。

当社がご提案したのは、逆の方向でした。

部門の売上と経費だけを見せても、数字への意識は育ちません。なぜこの経費が通らないのか、なぜこの金額では厳しいのか。それを理解するには、営業利益の先に何が引かれ、最終的に会社にいくら残るのかまで見えている必要があります。全体で何にいくらかかっていて、そのうちどれだけが自分の部門に配分されているのか。そこまで含めて同じ場所で確認できる形にしました。

数字の出どころも変えています。経理の仕訳ではなく、現場の入力を起点にしました。メンバー1人ひとりの売上と人件費から積み上げ、経費は現場が申請し、承認を経て採算に反映されます。経理の締めを待たずに、その月の状態が分かります。

そのうえで、設計にあたって最も重視したのは、数字が信じられ続けることでした。

同社には、将来的にこの仕組みを社員の評価にも用いたいというご意向がありました。評価に使われる数字は、経営判断のための数字とは求められる精度が違います。方向が合っていれば足りる、という扱いはできません。先月見た数字と今月見た数字が食い違えば、その時点で誰も見なくなります。

そこで、いくつかの判断をしました。

金額の変更は、上書きではなく積み重ねで持つ形にしています。ある月から適用する金額を設定として追加していくため、金額を変えても過去の月の数字は動きません。消費税率も、毎月同額が続く費目も、同じ考え方で扱います。

メンバーの売上は、翌月に自動で引き継がない設計にしました。前月の金額をコピーすれば入力は楽になりますが、実際には変わっているのに古い数字が残り続けるという壊れ方をします。しかもこの壊れ方は、画面上は正常に見えます。数字が入っているからです。入力を忘れて数字が欠けるほうが、気づける分だけ安全だと判断しました。ただし毎月ゼロから入力するのでは現場が持たないため、直近の金額を一括で登録する機能を別に用意しています。

費用の計上を開始する月も、メンバーごとに個別に持たせました。入社したその月から現場に出るとは限らず、その間も人件費は発生します。どの月から誰のコストをどの部門が背負うのかを、記憶ではなくデータとして持つ形にしています。社会保険料の対象人数も、この月と退職月から自動で判定するため、月の途中の出入りが正しく反映されます。

さらに、誰がどの案件に誰を関わらせたのかを、月ごとに記録する仕組みを設けました。この記録は、部門の損益の計算には使いません。それでも必要だと考えたのは、部門別の採算には構造的な弱点があるためです。自分の部門の数字だけを見ていると、他部門に人を出す動機が消えます。自部門の売上にならないからです。しかし会社全体で見れば、そのほうが得な場面があります。採算表に現れない貢献を、別の場所に残しておく必要がありました。

同社が課題とされていた、誰が何をしてきたのかが記憶に頼る状態。その解決にも、この記録が直接つながります。

開発プロセス

誰にどこまで見せるかを、最後まで議論した

開発はLAFを用いて進めました。LAF(LEGAREA AI Framework)は、AIを使って設計から実装までを進める当社独自の開発フレームワークです。体制は2名、期間は約4ヶ月でした。

このプロジェクトで最も議論を重ねたのは、機能の作り方ではなく、誰にどこまでの数字を見せるかという点でした。

論点は2つありました。ひとつは、マネージャーが他の部門の損益を見られるようにするかどうか。もうひとつは、営業利益より先、経常利益や純利益といった会社全体の数字を、役員以外にも開くかどうかです。

一般的な経営管理のサービスでは、この2つはいずれも閉じる方向で設計されています。各部門には自部門だけを見せ、勘定科目の単位でも閲覧を制限できる。見せない機能が備わっていること自体が、製品の価値として扱われています。

慎重に検討すべき理由はあります。他部門の数字が見えれば、部門同士の比較が始まります。会社全体の損益が見えれば、役員報酬を含めた配分にも目が向きます。組織に不要な摩擦を生む可能性は、否定できません。

それでも、最終的にはどちらも開く判断をしました。

理由は、このシステムの目的にあります。同社が求めていたのは、数字を管理することではなく、マネージャーに数字への意識を持ってもらうことでした。自分の部門の数字しか見えなければ、比較の対象がありません。自分の部門が良いのか悪いのかを、何と比べて判断すればよいのか分からなくなります。

会社全体の損益についても同じです。営業利益までしか見えなければ、そこから先に何が引かれているのかは想像するしかありません。なぜこの経費が通らないのか、なぜこの金額では厳しいのか。その理由は、常に営業利益より下に隠れています。見えないままでは、経営からの要請は最後まで無茶振りにしか聞こえません。

数字を開くことには摩擦が伴います。しかし、摩擦を避けて数字を閉じれば、そもそもの目的が果たせなくなります。開いたうえで、なぜその数字になっているのかを説明できる状態を作る。それが、同社と当社が出した結論でした。

プロジェクトの成果

記憶に頼っていた部分が、記録として残るようになった

同社では2026年9月より、本システムの利用を開始されています。

誰がどの案件に誰を関わらせたのかは、月ごとの記録として残ります。上長が交代しても、異動があっても、その記録は失われません。評価する側は根拠を持って説明でき、評価される側は自分の働きを示せます。同社が将来的に見据えている評価制度の管理についても、その土台となるデータが日々蓄積されていく状態になりました。

部門ごとの損益は、経理の締めを待たずに確認できます。メンバーごとの売上と人件費、社会保険料、承認済みの経費が積み上がり、その月の状態がそのまま数字になります。

そして、マネージャーは自分の部門の数字だけでなく、他部門の損益も、営業利益から先の会社全体の流れも見ることができます。自分の部門がどの位置にあるのか、会社の中で何にいくらかかっていて、そのうちどれだけが自分の部門に配分されているのか。判断に必要な材料が、同じ場所に揃っています。

設計にあたって最も重視したのは、この数字が信じられ続けることでした。金額の変更は積み重ねで持つため、過去の月の数字は後から動きません。メンバーの売上は自動で引き継がないため、古い数字が残り続けることもありません。将来的に評価へ用いる前提がある以上、ここが崩れれば、その時点で誰も数字を見なくなります。

数字を見せるだけの仕組みであれば、既存のサービスでも作れます。同社が必要としていたのは、マネージャーが自分で判断できるようになる状態でした。そのために何をどこまで開くかを、最後まで一緒に議論できたことが、このプロジェクトの中心だったと考えています。

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