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研修支援システム

AIロープレシステム

今回は、ビジネススキルの資格検定を運営する一般社団法人からご依頼いただいた、研修支援システムの開発事例をご紹介します。

開発したのは、AIが顧客役を務め、受験者と実際に声で会話するシステムです。会話は自動で録音され、誰が何を話したかを区別した文字起こしが作られます。そのうえで、会話全体を採点基準に照らして評価し、項目ごとの点数と総評を返します。

AIは、練習する人が話した内容に応じて、その場で応答を組み立てます。同じ場面設定でも、こちらの話し方が変われば、返ってくる反応も変わります。人が相手をしているときと同じ流れで会話が進みます。

現在は、当初の用途にとどまらず、他社の営業研修などにも活用いただいています。

Summary

応対の訓練は、相手役がいなければ成り立ちません。営業でも、接客でも、顧客対応でも同じです。誰かが顧客の立場で応対し、それに対してどう返すかを練習する。この形が長く続いてきました。

しかし、人が相手役を務める方法には限界があります。

まず、人手がかかります。練習する人の数だけ、相手役が必要になります。日程を合わせ、場所を押さえ、同じやり取りを何度も繰り返す。相手役を務める側の負担は大きく、規模が広がるほど続けられなくなります。

そして、条件が揃いません。人が演じる以上、応対には差が出ます。声の調子、話す速さ、間の取り方。同じ設定を渡されていても、まったく同じにはなりません。練習する側からすれば、誰が相手だったかによって難易度が変わることになります。

当社がご提案したのは、この相手役をAIに置き換えることでした。AIであれば、同時に何人が練習しても人手は増えません。日程や場所の制約も小さくなります。そして、誰が相手をしても応対は同じ基準で行われます。

あわせて、会話の記録と評価までを一続きにしました。会話は自動で録音され、誰が何を話したかを区別した文字起こしが作られます。その記録をもとに複数の項目で評価し、点数と総評を返します。

現在は、当初の用途にとどまらず、他社の営業研修などにも活用いただいています。相手役を人が務められないという課題は、特定の業種に限った話ではなかったためです。

課題

相手役を務められる人が、いつまでも足りない

応対の訓練には、相手役が要ります。顧客の立場で話しかけ、こちらの受け答えに反応する人がいなければ、練習になりません。

問題は、その相手役を誰が務めるかです。

相手役は、誰でもできるわけではありません。顧客としてどう振る舞うべきかを理解し、練習する側の受け答えに応じて自然に反応を返す必要があります。事情を知らない人に頼めば、練習そのものが成立しません。結果として、経験のある人に集中します。

そして、その人数は増えません。練習する側が増えれば、必要な回数も増えます。ひとりの相手役が、同じやり取りを何度も繰り返すことになります。日程を合わせ、場所を押さえ、時間を確保する。この調整を毎回行うため、回数を増やそうとするほど負担が重くなります。

やがて、練習の回数のほうが削られます。本来は何度でも繰り返したい訓練が、相手役を確保できる範囲に収まってしまう。

さらに、人が務める以上、応対には差が出ます。声の調子、話す速さ、間の取り方。同じ設定を渡されていても、まったく同じにはなりません。一人ひとりの練習の手応えが、誰が相手役だったかで変わります。評価を伴う場面では、この差がそのまま不公平になります。

人を増やせば解決する問題ではありません。人を増やすほど、応対の差は広がります。

当社の提案とソリューション

何度でも同じ相手が務まる、という条件を作る

当社がご提案したのは、相手役をAIが務める形でした。

この形であれば、先ほどの2つの問題が同時に解決します。相手役を確保する必要がないため、練習の回数は誰の都合にも縛られません。同時に何人が練習しても、人手は増えません。そして、誰が練習しても、相手役の応対は同じ条件で行われます。

ただし、ここで新しい難しさが生まれます。

AIは、同じことを言い続けるとは限りません。同じ設定を与えても、その時々で言い回しが変わり、話の運び方が変わることがあります。人を相手役にしていたときのばらつきを解消するために導入したのに、AIの側にばらつきが残れば、意味がありません。

そこで、AIに与える役柄の設定を細かく作り込みました。誰であるか、どういう立場で、何のために話しかけてくるのか。どういう話し方をし、どの程度の長さで話すのか。相手の受け答えがどうであれば、どう反応するのか。話を切り上げるのはどの時点か。

こうした一つひとつを、あらかじめ決めています。練習する側の受け答えに応じて反応は変わりますが、変わり方の範囲そのものは定めてあります。

もうひとつ決めたのは、評価を会話の最中に行わないことです。

会話をしながら採点すれば、AIは目の前のやり取りだけを見ることになります。しかし、応対の良し悪しは、一部分では判断できません。最初に伝えるべきことを後で言ったのか、そもそも言わなかったのか。会話全体を見なければ区別がつきません。

そこで、会話が終わってから、記録全体をもとに評価する形にしました。まず会話を録音し、誰が何を話したかを区別した文字起こしを作ります。その記録を採点基準に照らして、項目ごとに判定します。

この作りには、もうひとつ利点があります。記録が残るため、評価の根拠を後から確認できることです。なぜその点数になったのかを、会話の中身と照らし合わせて説明できます。

開発プロセス

調整の大半は、機能を作ることではなかった

開発はLAF(LEGAREA AI Framework)を用いて、2名体制・約3ヶ月で完了しました。LAFは、AIを使って設計から実装までを進める当社独自の開発フレームワークです。

ただ、このプロジェクトで時間を要したのは、機能を作る部分ではありませんでした。

ひとつは、AIの応対を安定させる調整です。

人が話す言葉は、同じ内容でも言い方が違います。同じことを尋ねているのに、表現がまったく異なる。丁寧に聞く人もいれば、短く済ませる人もいます。こうした違いに対して、AIが毎回ばらばらの反応を返せば、練習する人ごとに条件が変わってしまいます。

そこで、想定される場面をあらゆる角度から洗い出し、どの言い方で来てもお客様としての立場が崩れないよう、一つひとつシステムに組み込んでいきました。表現が違っても、言っている内容が同じであれば、返ってくる反応も同じになる。この状態を作るまでに、相当の回数の確認を重ねています。

もうひとつは、採点の安定です。

同じ会話であれば、何度採点しても同じ点数が出なければなりません。点数が採点のたびに動くようでは、評価として成り立たないからです。同じ会話を繰り返し採点させ、結果がぶれないかを確認する。この作業を重ねて、判定が安定する状態まで詰めました。

機能そのものは、比較的早く形になります。時間がかかるのは、その機能が何度使っても同じように働くと確かめる工程です。人が相手役を務めていたときのばらつきを解消するために作ったシステムである以上、ここを曖昧にすれば、作った意味がなくなります。

プロジェクトの成果

同じ条件で練習できる状態になった

2026年5月より、本システムの利用が開始されています。

相手役を確保する必要がなくなりました。練習したいときに、その場で始められます。同時に何人が取り組んでも、必要な人手は変わりません。日程を合わせる調整も、場所を押さえる手間もなくなりました。

そして、誰が練習しても、相手役の応対は同じです。表現の違う問いかけに対しても、内容が同じであれば同じ反応が返ります。声の調子や間の取り方が、そのときどきで変わることもありません。練習の手応えが、相手が誰だったかに左右されなくなりました。

評価についても同じです。同じ会話であれば、何度採点しても同じ結果が出ます。項目ごとの点数と総評が返るため、どこができていて、どこが足りないのかが具体的に分かります。会話の記録が残るため、その点数になった理由を後から確認することもできます。

現在は、当初の用途にとどまらず、他社の営業研修などにも活用いただいています。

これは、当初から想定していた展開ではありませんでした。相手役を人が務められないという課題が、特定の業種や場面に限ったものではなかったということです。顧客と話す仕事であれば、業種を問わず同じ問題が起きています。設定する場面を入れ替えれば、そのまま別の業種の訓練に使えます。

応対の力は、繰り返すことでしか身につきません。その繰り返しを、誰かの時間を借りずに行える状態を作ること。それが、このシステムで実現したことです。

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