開発経験ゼロでも、“仕様理解力”は最短で伸ばせる

こんにちは。LEGAREA代表の三坂です。最近多少温かくなってきたので趣味のサーフィンを再開しました。サーフィン、ゴルフ、ギターやピアノ、このあたりを楽しむのが好きです。一番長く携わっているのは実は剣道でして、武道出身の一面も実はもっております。昔は水泳やソフトボール、ミニバスなんかもかじってましたね。スポーツはほとんど経験してきました、という不意な自己紹介から今日はお届けしてみました。
では、本題に入ります。
私がこれまで数多くの現場で仕事をしてきた中で、プログラミングの知識よりも現場の仕様理解の方がよほど重要であることを身をもって経験してきました。ITリテラシーをあげたいがあまり、仕様理解をするためのトレーニングが足りていない方をよく見かけるので、今回は、そんな「仕様理解力の伸ばし方」についてお話ししたいと思います。
そもそも“仕様理解力”とは何か?
まず、誤解を避けるために言っておきたいのですが、“仕様理解力”とは「仕様書を完璧に読める力」ではありません。
以下のような複数の力の総称です。
- なぜこの仕様になっているのかを想像する“背景理解力”
- 曖昧な指示から本質を汲み取る“読解力”
- 設計書・画面・フローなどを結びつけて整理する“構造把握力”
- 「自分のやるべきこと」を切り出す“要件分解力”
- 分からない部分を質問できる“整理された疑問提示力”
これらを一言で言うなら、「自分が動くために“何を理解すべきか”を見極める力」です。
実はこの能力、コードが書けることよりも現場ではずっと重要なんです。
未経験者でも伸びる理由:コード経験が邪魔になることもある
これは皮肉な話ですが、プログラミングをかじってきた人ほど「作り方」にとらわれがちです。
仕様より先にコードを考え、「動かす」ことに意識が向いてしまいがち。
一方、未経験者は「仕様にしか頼れない」状態だからこそ、“読む力”“理解する力”が最初から鍛えられます。
たとえば、以下のような行動は未経験者の方が素直にできることが多いです。
- 「このボタンを押したあとに何が起きるのか?」を画面仕様書から追う
- 「ここの文言ってユーザー目線だと伝わりにくいですよね?」と違和感を拾う
- 「このパターン抜けてませんか?」とテスト観点から補完する
つまり、“ユーザー視点で考える”“仕様の流れをつかむ”ことにおいては、むしろ素人の方が強いことがあるんです。
最短で仕様理解力を伸ばすための5つのステップ
では、どうすれば“仕様理解力”は効率的に伸ばせるのか?
私なりの考え方ですが、最短ルートの5ステップを紹介します。
①【ステップ1】まずは“画面”を起点に全体像をつかむ
仕様理解の出発点は 「画面」です。
業務フローも、データの流れも、ユーザー行動も、最終的には「どの画面で何をするか」に帰結します。
- 画面仕様書を印刷して、フロー順に並べてみる
- 画面ごとに「ユーザーが何をしたいのか?」を一文で書いてみる
- 画面間のつながりを「矢印」で書いて可視化する
これだけでも、プロジェクト全体の約60%は理解できます。
設計書やコードを見るのは、これの“あと”でOK
②【ステップ2】「登場人物」と「操作対象」を洗い出す
システムには、必ず登場人物(ロール)と操作対象(エンティティ)があります。
例:
- 登場人物:管理者、一般ユーザー、社内担当者
- 操作対象:商品、申込、ポイント、レビュー
これらを表にまとめて、「誰が/何に/どんな操作をするのか」を洗い出すだけで、仕様の8割は把握できます。
③【ステップ3】「こうしたら、どうなる?」を自問する
仕様書を読む際、常に頭の中で以下の問いを繰り返してください。
「このボタンを押したら、何が変わる?」
「この入力値に制限があるのは、なぜ?」
「このフローの分岐は、誰のためにある?」
これは“想像力”のトレーニングです。
この自問自答こそが、仕様理解の本質に近づく一番の近道です。
④【ステップ4】「説明できるか?」で理解度をチェック
仕様が“分かったつもり”になっていないかを見極める方法は、たった一つ。
「人に説明できるか?」
MTGなどで、自分の口で「この仕様はこういう意図ですね」と説明する機会を持ちましょう。
できなければ、まだ理解できていない。
逆に、自信を持って説明できるようになれば、仕様理解力は格段に成長しています。
⑤【ステップ5】「質問の質」で成長が測れる
仕様理解力が高い人ほど、質問のクオリティが高いです。
×「ここの意味が分かりません」
○「Aの場合はこう動くと読み取れますが、Bのパターンはどうなりますか?」
質問の切り口や背景説明が具体的であればあるほど、相手の信頼も得られますし、自分の思考の質も上がります。
コードを書けなくても、信頼される人間になれる
現場に入ったとき、「コードを書けない」「技術が足りない部分がある」と悩むのはよくあることと思います
でも、それは現場で評価される軸のすべてではありません。
むしろ、仕様を正確に読み解き、動きを理解し、周囲に整理して伝えられる人間は、「現場にとっていなくてはならない存在」になります。
そして不思議なことに、仕様を理解できるようになると、自然とコードも読めるようになります。
自分が何を作ろうとしているのかが明確になれば、技術も吸収しやすくなるのです。
最後に
コードが書けないうちは、不安になるでしょう。
でも仕様を読み解く力は、経験ゼロのあなたにこそ、伸ばせるポテンシャルがあります。
焦らず、でも貪欲に。
“仕様を制する者が、現場を制する”ことを信じて、ぜひ第一歩を踏み出してほしいと思います。
ではまた次回!