PMOの仕事が未来を創る

みなさんこんにちは!代表の三坂です。
本日の記事では、PMO(プロジェクト管理オフィス)の仕事にフォーカスして、その需要の高さと将来性について詳しく解説していきます。「PMOって聞いたことあるけど、実際どんな仕事?」と気になる方や、「このキャリアで本当に稼げるの?」と悩む初学者の方にもわかりやすい内容を目指しました。具体的なデータや実際の事例を通じて、PMOの魅力を余すことなくお届けします。
先日の弊社忘年会の様子。動画撮るの忘れてました。。

PMOとは?
PMO(プロジェクト管理)とは、プロジェクトがスムーズに進行するようサポートする専門職です。PMOの役割は主に以下の4つです:
- 計画立案:プロジェクトの目標を明確にし、実行可能なスケジュールを作成。
- 進捗管理:各チームやメンバーが予定通りに作業を進められているか確認。
- リスク管理:プロジェクトが抱えるリスクを早期に特定し、解決策を提案。
- リソース管理:必要な人材や予算を適切に配分。
例えば、あなたが学校で文化祭を企画しているとします。PMOは全体のスケジュールを作り、誰がどの役割を担当するのか決める人です。また、途中で問題が起きたときに解決方法を考えるのもPMOの役割です。
プロジェクトは小さなタスクの集まりですが、1つのミスが全体の失敗につながることもあります。PMOはそのような失敗を防ぎ、効率的にプロジェクトを進めるための「司令塔」として活躍します。
PMOの需要の高さ
PMOという仕事はなぜ需要があるのでしょうか?
プロジェクトの失敗率
- PMI(プロジェクトマネジメント協会)の2021年の調査によると、プロジェクト全体の70%がスケジュール遅延や予算超過を経験しています。
- 不十分なプロジェクト管理の結果、年間で約12兆ドル(約1800兆円)が無駄になっています。
- この失敗率の主な原因としては、不十分な要件定義(プロジェクト開始時点で、何を達成すべきか明確になっていないケースが多い)、リソース不足(必要な人材やスキルがそろわないままプロジェクトが進行してしまう)、コミュニケーション不足(部署間の連携が取れず情報共有の遅れや誤解が発生する)等があげられます。
PMOはこれらの問題を解決するために設置され、計画の整備やリスク対応、コミュニケーション促進を通じてプロジェクト成功率を高めます。実際、Gartnerの調査によれば、PMOを導入した企業のプロジェクト成功率は64%に達し、未導入の企業より16ポイントも高くなっています。
求人増加率
- 2023年時点で、日本国内のPMO職の求人は前年比22%増加しており、大手求人サイトのデータでは「PMO」関連の求人件数がIT分野で急成長しています。
- 求人が増加している背景には、ITプロジェクトは規模と複雑性が増していることが挙げられます。デジタルトランスフォーメーション(DX)が進む中、多くの企業がAI、IoT、クラウド技術を活用した新しいビジネスモデルを構築しようとしています。こうしたプロジェクトでは、技術的な難易度の上昇(新しいツールやプラットフォームの選定、既存システムとの統合)、マルチステークホルダー環境(開発チーム、外部ベンダー、経営層など多くの関係者が関わることで意思決定が遅れる)、長期化するプロジェクト期間(一般的にDX関連プロジェクトは1年以上かかることが多く、長期間にわたる計画と調整が必要になる。)等の複雑な課題が伴います。
PMOはプロジェクト管理の課題を解決するための重要な役割を担い、その需要はますます高まっています。プロジェクトの失敗を減らし、成功率を向上させるPMOの存在は、企業にとって欠かせないものとなっています。DXの進展やプロジェクトの複雑化が進む中、PMOの専門スキルを持つ人材は、これからの時代においてさらに大きな価値を発揮すると思われます。
PMOの将来性
PMOは現在だけでなく、将来にわたって高い需要を維持し、さらに進化していく職種です。その将来性を支える要素について解説します。
DX化の加速と需要の拡大
DX関連プロジェクトでは、従来のプロジェクト管理以上に高度な専門性とテクノロジーの知識が求められるため、PMOの需要がさらに高まっています。日本国内では政府主導でDX化が推進され、多くの企業がデジタル化に取り組んでいます。
人材需要の増加
PMIの「タレントギャップレポート」では、2027年までに8800万人以上のプロジェクト管理人材が必要になると予測されています。特にPMOのような専門性が高いスキルを持つ人材は、供給が不足しており、企業の間で争奪戦が起きています。
進化する役割
従来のPMOは進捗やリスク管理が主な役割でしたが、現在では「戦略的PMO」として経営判断に深く関与する役割を担うケースが増えています。たとえば、プロジェクトのROI(投資対効果)を分析し、経営層に提案するなど、企業の競争力を直接向上させる貢献が期待されています。
PMOは、プロジェクト成功のカギを握る存在として、今後も需要が高まり続ける職種です。その役割はますます高度化・多様化し、経営戦略やDX推進の中核を担う立場として進化を続けています。PMOとしてのキャリアを築くことで、テクノロジーとビジネスをつなぐ専門家として、大きな可能性を広げることができる職業です。
ゼロからPMOとしてキャリアを築くためには?
PMOは将来性のある職種であり、多くの可能性を秘めていますが、その職に就くためには適切なスキルと経験が必要です。以下では、PMOとしてキャリアを築くために必要なスキルや、今後のキャリアパスについて解説します。
必須スキルとその習得方法
プロジェクト管理スキル
プロジェクトの計画、進捗、リスク、リソース管理などの基本的なスキルはPMOの基盤です。 PMP(プロジェクトマネジメントプロフェッショナル)などの資格を取得することがおすすめです。特にPMPは、世界的に認知されており、転職市場でも有利です。
コミュニケーション能力
PMOは多くのステークホルダー(クライアント、チームメンバー、経営層など)と関わるため、調整力や交渉力が求められます。ビジネスコミュニケーションスキルの研修やロールプレイングで実践力を高めることをおすすめします。
データ分析スキル
プロジェクトの進捗を把握し、問題を早期発見するためにはデータ分析が重要です。ExcelやBIツール(Tableau、Power BIなど)のスキルを磨き、プロジェクトのKPIを可視化する技術を身につけましょう。
テクノロジーへの理解
DXや最新技術に関する知識は、現代のPMOにとって必須です。ITIL、AWS認定資格、クラウド関連の資格取得を通じて、テクノロジーへの理解を深めましょう。
初学者はここから始めよう
課題解決能力
プロジェクトでは必ず課題が発生します。その際、迅速に原因を特定し、解決策を提案できる能力が求められるため、フィッシュボーンダイアグラム(特性要因図)や5Whys(なぜを5回繰り返す)を使って、問題の根本原因を探る練習をしてみましょう。現場で使える分析シートを自作するのも効果的です。過去のプロジェクトで発生しがちな課題をリストアップし、それに対して自分ならどう対応するかシナリオを作成し、実際のPMO経験者に意見をもらう場を設けることができれば理想的です。
Excelを徹底的に使いこなす
PMO業務の大半はデータ管理や進捗確認でExcelを使います。基本操作だけでなく、分析や自動化のスキルが即戦力になります。ガントチャートやリスク管理表をExcelで作成してみましょう。既存のテンプレートを参考に、独自の改善を加えることで現場感覚を養う効果が期待できます。また、VLOOKUP、IF関数、ピボットテーブルなどの基本関数に加え、簡単なマクロを使ってデータ集計を効率化する技術を学びましょう。自動化スクリプトを現場に提案できると評価が上がります。
議事録作成のスピードと精度を上げる
会議内容を要約して議事録に落とし込む能力は、PMOに欠かせないスキルの一つです。速さと正確さのバランスが重要です。あらかじめテンプレートを用意しておき、会議中に書き込む部分を明確にする。項目例は「議題」「決定事項」「次回までのアクションアイテム」など。YouTubeでビジネス会議やディスカッション動画を視聴し、それを基に議事録を作成する練習を行う。時間内にまとめる力を磨くことが重要です。
タスク管理ツールの活用
PMOは、チームがタスクを効率よく進められる環境を整える役割を担います。TrelloやJira、Asanaといったタスク管理ツールを使いこなせることが即戦力につながります。小規模な個人プロジェクトでも構わないので、タスク管理ツールにすべての作業を登録し、進捗を管理する練習をしましょう。実際にガントチャートを作成してみるのも有効です。
模擬プロジェクトを作成し、タスクの割り振り、期限設定、進捗報告を行う。チーム内でフィードバックをもらうとさらに効果的です。
PMOの一日の流れ(例)
8:30 – 9:00 朝の準備・タスク確認
- メールチェック:
- クライアントやチームメンバーからの連絡を確認。
- 優先度の高いタスクを整理。
- 今日のスケジュール確認:
- 会議の時間や進捗確認の予定を確認。
9:00 – 10:00 チームミーティング
- プロジェクトメンバーと朝会を実施。
- 各メンバーの進捗報告。
- 発生している課題や障害の共有。
- ミーティング後、課題に対する対応策をメモしてリーダーや関係者に共有。
10:00 – 12:00 資料作成・データ分析
- プロジェクト進捗レポート作成:
- スケジュールやコストの状況をグラフ化して可視化。
- チームの作業進捗を確認して、予算やリソース配分に問題がないか分析。
- リスク管理:
- 想定されるリスクや障害をリストアップ。
- リスクへの対応プランを作成。
12:00 – 13:00 昼休憩
13:00 – 14:00 クライアントとの定例会議
- プロジェクトの進捗報告:
- クライアントに状況を説明。
- クライアントからの要望や変更点を確認。
- 次のステップや新たなタスクの優先順位を決定。
14:00 – 15:30 問題解決・チームサポート
- チームメンバーのサポート:
- 「このタスクの進め方がわからない」などの相談に対応。
- 必要に応じて、関係部署や外部パートナーとの調整を行う。
- 突発的な課題の対応:
- 発生した問題についてリーダーと相談し、解決策を実行。
15:30 – 16:30 プロセス改善の検討
- プロジェクトの進行状況を振り返り:
- 現在のプロセスで無駄がないか、効率化できる部分がないかを考える。
- 改善案を提案書にまとめる。
16:30 – 17:30 明日の準備・進捗まとめ
- チームやクライアントへの進捗報告書を作成。
- 明日のタスクを整理し、優先順位を設定。
17:30 – 18:00 終業前の確認
- 再度メールを確認し、緊急の対応が必要なものがないかチェック。
- 今日の成果を簡単にまとめて、次の日に向けて頭を整理。
PMOからITコンサルタントになれる?
PMOとしてプロジェクト管理の経験を積む中で、「次のステップとしてITコンサルタントになれるのだろうか?」と考える方は多いのではないでしょうか。実は、PMOで培ったスキルや経験は、ITコンサルタントにとって非常に重要な土台となります。
PMOとITコンサルタントは、どちらも企業の課題を解決し、ビジネスの成功を支援する役割ですが、そのアプローチや関わり方に違いがあります。具体的なステップを詳しく解説していきます。PMOから次のステージを目指したい方に、実現可能な道筋をお届けします!
ステップ1:PMOアシスタントとして基礎を学ぶ(0~2年目)
PMOの基礎的な業務を通じて、プロジェクト管理の基本スキルを習得する。
やるべきこと
- 業務内容
- 会議の準備・議事録の作成。
- プロジェクトのスケジュール管理。
- 資料作成(進捗報告書や課題リストなど)。
- チーム内でのタスク調整やフォローアップ。
- 学ぶべきスキル
- 基本的なプロジェクト管理手法(WBS、ガントチャート)。
- Excel、PowerPoint、プロジェクト管理ツール(JIRA、Asanaなど)。
- ビジネスマナーやコミュニケーションスキル。
達成基準
- プロジェクト管理の基本用語や手法を理解。
- PMやチームメンバーから頼られる存在になる。
- 小規模なプロジェクトやサブタスクを任されるようになる。
ステップ2:PMO担当者として経験を積む(3~5年目)
目標
PMO業務全般を任され、プロジェクト運営の中核を担う。
やるべきこと
- 業務内容
- 複数プロジェクトの進捗状況をモニタリング。
- リスクや課題の分析と対応策の立案。
- チーム間や部署間の調整役。
- プロジェクトの成果物品質のチェックと改善提案。
- 学ぶべきスキル
- リスクマネジメント、課題解決スキル。
- チーム間での調整力とファシリテーション能力。
- プロジェクト管理に関する資格取得(PMP、PRINCE2)。
- データ分析ツール(Power BI、Tableau)の活用方法。
- 取り組む資格・学習
- PMP(Project Management Professional)やITILファンデーション資格。
- 基礎的なITスキル(システム開発やITインフラの基礎を学ぶ)。
達成基準
- 大規模プロジェクトや複数プロジェクトを任される。
- PMの意思決定を助ける提案ができる。
- チーム全体の課題を可視化し、解決策を主導できる。
ステップ3:PMOエキスパートとして専門性を確立する(5~7年目)
目標
PMOとしてリーダーシップを発揮し、複数プロジェクトの成功に貢献する。
やるべきこと
- 業務内容
- プロジェクトの運営ルールや管理基準の標準化。
- コスト、リソース、進捗の最適化を主導。
- 経営層への報告や提案資料の作成。
- チーム内の人材育成や業務効率化の推進。
- 学ぶべきスキル
- ITソリューション(ERP、CRMなど)に関する知識。
- クライアントとの折衝力と提案力。
- 組織全体のプロジェクト管理手法。
- 取り組む資格・学習
- ITIL中級資格やTOGAF(エンタープライズアーキテクチャ)。
- 業界特化の知識(金融、製造、物流など特定分野の学習)。
達成基準
- 企業全体のプロジェクト効率向上に寄与。
- クライアントや経営層と対等に議論できる。
- プロジェクトの進行を通じて新しい標準を作り上げる。
ステップ4:ITコンサルタントとしてデビュー(8年目以降)
目標
PMOで培った経験を活かし、クライアントに課題解決やIT戦略を提案する。
やるべきこと
- 業務内容
- クライアントの課題や要望をヒアリング。
- ITシステム導入計画やプロジェクト戦略を提案。
- 実際のプロジェクトの管理・改善をリード。
- 業務プロセスの改善提案を行い、クライアントのビジネスを支援。
- 学ぶべきスキル
- 戦略的思考(ビジネスモデルの設計や分析)。
- クライアントの業界に特化した知識(例: 金融業界の規制)。
- データ分析、DX(デジタルトランスフォーメーション)の知識。
- 取り組む資格・学習
- CBAP(Certified Business Analysis Professional)。
- MBAや戦略コンサル向けのフレームワーク(SWOT分析、バリューチェーン分析など)。
達成基準
- クライアントから信頼されるパートナーとして認識される。
- プロジェクトだけでなく、ビジネス戦略に関する提案を行う。
- 自分の専門分野で市場価値の高い存在になる。
最終ステップ:キャリアを広げる
- 目標
- ITコンサルタントからさらにシニアコンサルタント、プロジェクトマネージャー、経営層(CIO/CTO)へとキャリアアップする。
- 取り組むべきこと
- 自分の専門性をさらに深める。
- 書籍の執筆や講演を通じてブランド力を高める。
- グローバル案件や大規模プロジェクトに挑戦。
最後に
PMOは、現代の複雑で変化の激しいビジネス環境において、企業の成功を支える重要な役割を果たします。その需要はこれからも高まり続け、専門知識を持つPMO人材はますます価値が高まるでしょう。この記事を通じて、PMOの役割やキャリアの可能性に少しでも興味を持っていただけたなら幸いです。
PMOは「ただの管理役」ではなく、プロジェクトを成功へ導く「戦略的なパートナー」です。これからPMOを目指す方や、既にPMOとしてキャリアを歩んでいる方が、自信を持って次の一歩を踏み出せるように、私たちも引き続き情報を発信していきます。
一人ひとりの努力がプロジェクトの成功を形作り、やがて企業や社会をより良い未来へと導きます。ぜひ、この魅力的な職種に挑戦し、あなた自身の可能性を広げてください!
それでは、また次回の記事でお会いしましょう!!