「未経験OK」のSES求人に飛びつく前に知っておくべき3つの現実

こんにちは、代表の三坂です。
すっかりサンダルの季節になりました。僕は毎朝レッドブルを飲むことが習慣なのですが、健康に悪い、と周りからよく言われます。たしかにレッドブルは不健康ですがそれ以上に精神面が圧倒的に健康なのでプラマイゼロ、むしろプラスだと思って引き続きレッドブルの売上に貢献しようと思います。がんばります。

さて、今日は久しぶりにこの業界の【闇ネタ】を取り上げていきたいと思います。最後までじっくりお読みください。

目次

はじめに

「未経験からエンジニアへ!」 「ゼロから学べるIT業界!」――SNSや求人サイトでよく見るこの言葉たち。
でも、ちょっと待ってください。 その“未経験OK”のエンジニア求人、本当にエンジニアになれる道なんでしょうか?

今回は、エンジニアとして真っ当に成長したい人に向けて、「SESの未経験OK求人に飛びつく前に絶対に知っておくべき3つの現実」を、現場目線でお伝えします。

1. その会社、どんな事業形態?──SES?受託?自社開発?

まず最初に押さえてほしいのが、「会社の事業モデル」です。エンジニアとして成長できるかどうかは、この構造にめちゃくちゃ左右されます。

求人には「開発エンジニア募集!」「システムエンジニア募集!」と書かれていても、 その会社がどのタイプなのかによって、中身はまったく違う。

▶️ ざっくり分けると:

  • 自社開発:自社でサービスを企画・開発・運用
  • 受託開発:他社から依頼されたシステムを社内で開発
  • SES(客先常駐):エンジニアが他社の現場に常駐し、業務に携わる

特に注意すべきなのは、SESだけを主軸にしている会社の「未経験OK」です。

なぜか?

▶️ SES企業が“未経験OK”を出す理由

  • まず、経験者採用で思った成果が出ていないケースが多い。即戦力を求めるSESビジネスにおいて、実力ある人材は他社に流れやすく、確保が困難。
  • しかしSESというビジネスモデルは“社員数”によってしか売上が立たない構造のため、社員数を増やさないと事業がスケールしない。
  • 結果として、未経験採用を始める流れが生まれる。とはいえ、実際のSES現場は“即戦力前提”。未経験者にできる仕事が少ないため、最終的に任されるのはIT業務ではなく、コールセンター・家電量販店・ウォーターサーバーの営業・ヘルプデスク・Excel修正・手順書の整理などの“非IT業務”になりがち。

実際、未経験OKのSES求人の多くは“IT風味の非IT業務”を大量に抱えた企業が人員を必要としているケースがほとんどです。

そしてここが本質ですが、SESは技術支援事業であって、そもそも“自社プロダクト”を持ちません。

自社開発や受託開発の会社は、社内に業務があるため、未経験者を社内に置いて育成したり、簡単なタスクから徐々に開発経験を積ませたりすることが比較的可能です。

ですがSESの場合、業務の場は“他社の現場”であり、顧客は基本的に即戦力を求めています。つまり、「未経験のままエンジニア業務に関われる」なんて状況は、理論上ほぼ起こり得ません。

そのため、SES事業“のみ”を展開している会社が「未経験OK」と打ち出していたら、極めて慎重に見るべきです。本当にエンジニアとしての成長環境がある会社は、ごく一部。 SES事業のみを展開していて、未経験から技術者を本気で育ててくれる会社は、体感で0.1%以下と言っても過言ではありません。

つまり、「教育してから現場に出す」よりも、 「未経験でもいいから稼働できる人材」が欲しいのが実態。

だからこそ、事業内容をしっかり見て、“SESだけ”かどうかを確認することが超重要です。

2. SESは“即戦力ビジネス”という現実

SESは一見「IT企業っぽく見える」構造をしていますが、その実態は人月ビジネス=即戦力の“工数売り”ビジネスです。

クライアントは基本的に「現場に足りない人材」を補充するためにSESを使います。

つまり、現場は“すでに走っている”のが当たり前で、そこにポンと入ってくる人間には即戦力を求めています。

未経験でできる仕事なんて、そもそも存在していないのが現実です。にもかかわらず、現実にはこういうことが起こっています:

  • 現場に入ったものの、「非エンジニア業務」ばかりでスキルが積めない
  • 「開発に関わりたい」と言っても、「次の案件でね」と言われ続ける

これは、未経験者を受け入れる体制がないのに、ビジネス上の都合で無理やり“人を回している”からです。

現場が未経験者を育ててくれるわけではない。 顧客はお金を払っている以上、“育成”なんて期待していない。育成するならわざわざ他社の人間ではなく自社の人間を育成したいですよね。

SESで未経験からエンジニアを目指すなら、自分で学び続ける覚悟と、最初の数年はほぼ報われない前提でいる必要があります。

3. 「なぜ、未経験からエンジニアになりたいと思ったのか?」

エンジニアという仕事は、技術職の中でも世界的に見て安定性・報酬水準の高い職種です。 努力次第でキャリアアップできる実力主義の世界であり、年齢や学歴に関係なく自分の価値を証明できる、これ以上ない環境が整っていると言っても過言ではありません。

でも、それを“簡単になれる仕事”だと勘違いしていませんか?

「未経験からでもOK」と聞いて、「楽にスキルを手に入れて高年収になれる」と思ってしまう人もいます。 でも現実はまったく逆で、エンジニアになるには“相応の努力”が必要です。

だからこそ、こう問い直してほしいのです。

「そもそも、なぜ自分はエンジニアになりたいと思ったのか?」

▶️ “手に職”をつけるには?

→ 技術力を地道に積み上げる日々が必要。数ヶ月や数冊の勉強では足りません。

▶️ “自由に働く”には?

→ 他人に代われないほどの専門性を身につけてはじめて、自由が生まれます。

▶️ “フリーランスになりたい”?

→ 会社に依存せずに働くには、信用・実績・自己管理すべてが必要になります。

つまり、エンジニアになること自体がゴールなのではなく、“継続的に価値を出せる人材”になることが目的であるべきです。

未経験で飛び込むこと自体は何も悪くありません。 ただし、その裏にある現実を見ずに「楽に稼げそう」で判断すると、 「成長もできず、報酬も上がらず、ただ年齢だけ重ねる」という最悪の未来もあります。

まずは、“なぜ自分は目指すのか”をしっかり見つめ直してみましょう。

まとめ:飛び込む前に、見極める目を持とう

「未経験OK」は魔法の言葉じゃありません。 むしろ、「誰でもOK」「教育しません」という裏返しでもあります。

大事なのは、

  • その会社がどういう事業形態か(SESだけ?受託もある?)
  • 未経験者に何を学ばせ、どんな未来を提示しているか
  • 自分は何のために、エンジニアを目指すのか

これらを言語化してから応募することです。

「なんとなく」で飛び込むと、「なんとなく」で使い潰されて終わります。

“本当にエンジニアになりたい人”だけが、一歩踏み出せると良いなと思います。その選択のきっかけになれば嬉しいです。

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