自社営業との打合せで「何書けばいいの?」現場業務を『伝わる言葉』にするエンジニア向けアドバイス

極端に寒すぎぃ!!!!こんにちは三坂です。
今日はパーカー来てます。梅雨明けが今から楽しみです。
さて、エンジニアの皆さん、こんな「あるある」に心当たりはありませんか?
- 「面談で自分の経験を話そうとしたら、なんかモゴモゴしてしまって、結局何も伝えられなかった…」
- 「スキルシートに何を書けばいいか全然わからなくて、当たり障りのないことばかり並べてしまった…」
- 「普段はバリバリコードを書いているのに、いざ言葉にしようとすると、途端に難しくなる…」
日々、システムと向き合い、コードを書き、問題を解決している。間違いなく価値ある仕事をしているはずなのに、いざ面談やスキルシートとなると、その「価値」をうまく言葉にできない。これ、多くのエンジニアがぶつかる壁なんです。
でもこれはあなたの能力が低いわけじゃないんです。エンジニアは「コード」や「システム」で表現することに長けていますが、それを「ビジネスの言葉」や「評価される言葉」に変換するスキルは、また別の筋肉を使うようなものだからです。
この壁を乗り越えられないと、せっかくのあなたの技術力や貢献が、適切に評価されません。結果として、希望の案件にアサインされなかったり、単価が上がらなかったり、キャリアアップの機会を逃してしまうことも。
今回は、このもどかしい状況を打破するために、現場業務を「伝わる言葉」に落とし込むための具体的なマニュアルを解説します。
第1章:なぜ「伝わらない」のか?エンジニアが陥りがちな3つの落とし穴
まず、なぜ頑張りが「伝わらない」のか、その原因を理解しましょう。
1. 「専門用語」や「内部事情」ばかりで話してしまう
エンジニアは日頃、専門用語を使って会話しますし、プロジェクトの内部事情は「言わずもがな」と理解しています。でも、面談相手やスキルシートを読む人(採用担当者や営業など)は、必ずしもそうではありません。
- 陥りがちな例: 「〇〇フレームワークを使って△△なバグをフィックスしました」「Zという既存ライブラリのコールバック処理を改善しました」
- 相手の頭の中: 「それで?何がどう良くなったの?」「うちのプロジェクトでどう役立つの?」
専門用語は、その分野の人には伝わりますが、それ以外の人には「何を言っているのか分からないノイズ」になってしまいます。
2. 「やったこと」は話せるけど、「成果」や「価値」が抜けている
日々のタスクは詳細に説明できても、そのタスクが「何に繋がったのか」、「どんな影響を与えたのか」まで話せないケースがよくあります。
- 陥りがちな例: 「〇〇機能を実装しました」「テストコードをたくさん書きました」
- 相手の頭の中: 「実装した結果、ユーザーやビジネスにどんなメリットがあったの?」「テストコードで何が改善されたの?」
「何をしたか(What)」だけでなく、「その結果どうなったか(So What)」を伝えなければ、単なる作業報告になってしまいます。
3. 「受け身」の姿勢で話してしまう
SESエンジニアは客先常駐が多いため、指示されたことを正確にこなす能力が重視されます。しかし、面談やスキルシートでは、「自ら考え、行動し、結果を出した」という主体性が求められます。
- 陥りがちな例: 「指示通りに〇〇を作成しました」「言われた通りにエラーを修正しました」
- 相手の頭の中: 「彼自身がどう貢献したの?」「困難な状況でどう乗り越えたの?」
受け身の表現では、あなたの真の能力やポテンシャルが伝わりにくくなってしまいます。
第2章:現場業務を「伝わる言葉」に変える具体的な3ステップ
ここからは、あなたの現場業務を「伝わる言葉」に落とし込むための具体的なステップを解説します。
ステップ1:事実を「見える化」する習慣 ~日々のメモを徹底する~
面談やスキルシート作成で困らないためには、日々の業務を「評価される視点」で記録する習慣が何よりも重要です。記憶はすぐに薄れてしまいますから、毎日少しずつでもメモを取りましょう。
何をメモするの?
ただタスクを羅列するのではなく、「課題」「行動」「結果」の3つの視点を意識します。
- 直面した「課題」や「問題」
- 例:「〇〇機能でメモリリークが発生していた」「顧客からの問い合わせ対応に時間がかかっていた」
- ポイント: 問題を特定できたこと自体が、問題解決能力のアピールにつながります。
- それに対して「あなたがどう行動したか」
- 例:「デバッグツールを使って原因を特定し、〇〇のアルゴリズムを△△に改善した」「問い合わせ対応フローを分析し、マニュアルを刷新した」
- ポイント: あなたの具体的なアクションと、そこに至るまでの思考プロセスを記録します。
- その行動で「どんな結果が出たか」
- 例:「メモリ使用量を20%削減し、システム安定性が向上した」「問い合わせ対応時間が平均5分短縮され、顧客満足度が向上した」
- ポイント: 数値(〇%改善、〇〇時間短縮など)や具体的な効果(エラー減少、バグ再発防止など)で表現することを強く意識しましょう。
メモのコツ:
- 短くても毎日: 1日5分でもOK。その日の「これは!」と思ったことをサッとメモる習慣を。
- ツールは自由: ノート、メモアプリ(Evernote, Notion, OneNoteなど)、スプレッドシートなど、自分が続けやすいものを選びましょう。
ステップ2:評価視点で「翻訳」する ~STARメソッドでストーリー化~
メモした事実を、相手に「伝わる言葉」に加工するステップです。ここで「STARメソッド」が非常に役立ちます。
STARメソッドとは?
- Situation(状況):どんな状況だったか?
- Task(課題):どんな課題や目標があったか?
- Action(行動):それに対し、あなたが具体的に何をしたか?
- Result(結果):その行動によって、どんな成果が出たか?
具体例:
NG例: 「認証機能を実装しました。」
STARメソッドで翻訳後:
- S (状況): 「既存のWebアプリケーションで認証機能にセキュリティの脆弱性があり、早急な改善が課題となっていました。」
- T (課題): 「この認証機能を強化し、最新のセキュリティ基準を満たすミッションを担当しました。」
- A (行動): 「最新の認証プロトコル(OAuth 2.0)を調査・選定し、フレームワークの提供する機能を活用しながら、セキュアな実装を設計・開発しました。さらに、独立したペネトレーションテストチームと連携し、発見された脆弱性を迅速に修正・対応しました。」
- R (結果): 「これにより、認証機能におけるセキュリティリスクを大幅に低減でき、顧客情報保護の信頼性向上に貢献しました。また、ユーザー認証処理のパフォーマンスも15%向上させることができました。」
ポイント:
- 専門用語を避けるか、簡潔に説明する: 相手がIT知識がない場合でも理解できるよう、「OAuth 2.0」と書くだけでなく、その目的を簡潔に補足する工夫を。
- 「~した」だけでなく、「~できた」「~に貢献した」と結果を示す: 受け身ではなく、主体的に貢献したことをアピールします。
- 「誰にとっての価値か」を意識する: 顧客にとってのメリット、ビジネスにとってのメリットなど、あなたの仕事が誰にどんな良い影響を与えたのかを明確にしましょう。
ステップ3:ターゲットに合わせて「カスタマイズ」する ~面談とスキルシートで使い分ける~
せっかく棚卸しした成果も、相手に合わせて見せ方を変えなければ効果は半減します。
面談で話す場合:
- ストーリーテリング: STARメソッドでまとめた内容を、「物語」として話すことを意識しましょう。エピソードを交えることで、より印象に残ります。
- 相手の反応を見る: 相手の表情や質問に合わせて、話す深さや内容を調整します。興味を持った点があれば、そこを深掘りして話しましょう。
- 双方向のコミュニケーション: 一方的に話すだけでなく、「この経験は御社でどのように活かせると思いますか?」など、相手に問いかけることで、対話を引き出しましょう。
- 強みと改善点をバランス良く: 自分の強みだけでなく、課題にどう向き合い、どう改善していきたいか(学習意欲)も話すことで、人間性や成長意欲をアピールできます。
スキルシートに書く場合:
- 簡潔さと具体性: 箇条書きを多用し、スペースを有効活用して、一番伝えたいことを明確に。長文は避け、一目でわかるように工夫します。
- キーワードの網羅: 応募先の求人情報にあるキーワード(技術名、役割、業界知識など)を意識的に盛り込みましょう。採用担当者の検索に引っかかりやすく、かつ彼らの目に留まりやすくなります。
- 数値化を徹底: 可能であれば、定量的な成果を必ず記載しましょう。「改善」ではなく「20%改善」、「高速化」ではなく「処理速度を500ms短縮」のように具体的に。
- 一貫性: 複数のプロジェクト経験がある場合、それぞれの経験を通して、自身の「得意なこと」「貢献できること」といった強みが一貫して読み取れるように工夫しましょう。
まとめ:あなたの仕事は、もっと輝く!
「現場業務を言語化できない」という悩みは、多くのエンジニアが抱える共通の課題です。でも、今回ご紹介した
- 日々のメモで「事実」を「見える化」する習慣
- STARメソッドで「成果」を「伝わる言葉」に翻訳する技術
- 面談やスキルシートの「相手」に合わせて「カスタマイズ」する戦略
これらを実践すれば、あなたの技術力や日々の貢献は、より明確に、そして魅力的に相手に伝わるようになります。
あなたの頑張りは、決して「やっただけ」で終わるものではありません。それは、次の案件、次のキャリアステップ、そしてより良い評価を得るための「価値ある実績」です。
今日から、あなたの「業務」を「伝わる言葉」に変えていきましょう!
きっと、あなたのエンジニアとしての価値は、もっと輝きを増すはずです。